製作者の想い

大崎正一 Shouichi Oosaki

現在の高評価は、ユーザーに対する不変の想いと志にあり

ビデオ・ダイジェスト

創設の経緯を教えてください

私は20歳からの10年間、東京に行っていました。その時に勤めていてのが、ハンドルカバーやシフトノブ、キーケースなどの自動車用品を扱う問屋でした。ただ長男だったこともあり30歳を機に茨城へ帰郷。自動車関係に携わっていた延長で、ショップを立ち上げることにしました。今でも懇意にしている「カーショップ オン」という店があるんですが、当時その社長のアドバイスもあり、また時流としてトラック用品への要望も多かったため、結果的にトラック用品の専門店になったんですね。
代名詞であるフロントバイザーを手がけたきっかけは?
当時は映画『トラック野郎』が全盛の時代でしたから、装飾にまつわる要望も多かったんですね。「映画と同じ、こういうのをつけてくれ」という。なら、需要も高いフロントバイザーを自己流で製作し、取付も含めて販売していこうと。本当にイチから勉強して試行錯誤の毎日でしたね。もちろんトラック1台1台のサイズに合わせるのも大変でしたし、お客さんも「自分だけのオリジナルが欲しい」というこだわりを持った人ばかりですから大量生産はできない。そういうレベルの高い要望をこなしていくことで、徐々にウチのオリジナルの形を作り上げてきたんです。
同業他社の製品と比べ、選ばれている理由は?

私が思うには、やはり、デザイン性、材質の良さ、仕上がり具合の完成度、それらの総合的なものを評価していただけているんだと思います。おかげさまで同業者が多い関西などでも、多くの注文を頂戴していますからね。昔は各ユーザーによる個人買いばかりでしたけれど、今はお客さんからのリクエストを通してディーラーやショップからの注文も増えています。これは余談ですが、近年のトラックの傾向として、丸みがかったフォルムが増えてきました。ゆえに取付の難易度が上がっているため、取付の仕方によって万が一でも不備が生じないよう、遠方からお問い合わせをくださる個人ユーザーさんには、近辺地域の実績あるショップを紹介しているようにしているんです。
この仕事をしていて嬉しいのはどんな時ですか?
ウチはリピーターさんからの注文が多いんですが、その中でもトラックの買い換えをしたお客さんから「前も付けてて良かったから、またおたくのフロントバイザーを付けたいんだ」と言われるのが嬉しいですよね。また、友達が付けているのを見て「オレも鹿島オリヂナルのフロントバイザーを付けたい」と注文していただけるケースも多いのは、とてもありがたいですし、私達にとって大きな励みになっています。
今後、フロントバイザーの市場はどう変化していくでしょう?

かつては装飾としての派手さが重視されていました。「派手なら派手なだけいい」と。昨今は徐々に「あっさりとセンスよく飾る」というようにシフトしてきた感じがしますね。その代わり、使用する一品一品は良質で値の張るものを付けていく、という。もっと言えば、とことんこだわるユーザーと、既製品で気に入ったものへ程良く近づけるタイプとに二分される傾向が強まっていくでしょうね。それと機能性の進化も問われてきます。フロントバイザーを付けることによって、燃費の向上に繋がるだとか、安全性に繋がるだとかの部分が求められてくるんだと思います。
今後の目標を教えてください

私自身もトラックに関する用品が好きで30年以上やってきましたし、また、お客さんの声があって成長してこれたと思ってます。ですから引き続き、お客さんの要望に応えられるよう、まじめに良いものをつくり続けていきたいですね。会社を大きくするために売り上げをアップさせることだけが目的なら、売り場面積を広げ、既製品を大量に並べなければならない。でも、それは自分たちが自信を持って売れる商品とは思えないですよね。逆に小規模だけど「これが私たちの商品です!」と胸を張って提供できるものを作っていきたいのです。これからもお客さんとの結びつきを大切にすることこそを第一義に、ずっと頑張り続けていきたいですね。

取材日2009年1月16日